投稿:2022.05.18 / 14:40
バレエの下肢障害 膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)
ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎、大腿四頭筋腱付着部炎)とは
このような症状があるようでしたら、ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎、大腿四頭筋腱付着部炎)の可能性があります。
- ジャンプの着地でお皿の下が痛い、またはお皿の上が痛い
- プリエをするとお皿の下が痛い、またはお皿の上が痛い
- 急激にターンをするとお皿の下が痛い、またはお皿の上が痛い
- ランニングをするとお皿の下が痛い、またはお皿の上が痛い
- ダッシュから止まる瞬間お皿の下が痛い、またはお皿の上が痛い
ジャンパー膝とは、モモ前にある大腿四頭筋を使いすぎて膝のお皿(膝蓋骨)の下にある膝蓋靭帯、またはお皿の上にある大腿四頭筋腱付着部に負担が増し、その部分に微小断裂が発生し痛みを生じます。
好発部位は以下のようになります。
- 膝のお皿(膝蓋骨)の下にある膝蓋靭帯付着部が約70%
- 膝のお皿(膝蓋骨)の上にある大腿四頭筋腱付着部が約20%
- 膝のお皿(膝蓋骨)の下にある脛骨粗面付着部が約10%
では、どのようなときに大腿四頭筋を使いすぎてしまうのでしょうか?
大腿四頭筋は、ジャンプの着地のときや、ランニングの着地のときに強く収縮し、膝蓋靭帯とともにそれらの衝撃を緩和する働きがあります。
ジャンパー膝を発症しやすいスポーツは、やはりジャンプや急激なターンの多いバスケットボール、バレーボール、サッカーなどで、10代後半~20代に多い印象です。
これらのスポーツの他にバレエ、新体操、チアダンスなど、ジャンプの多い競技でも発症します。
ジャンパー膝の発症メカニズム
足首が過回内(足首が内側へ倒れ込む)していると、大殿筋(お尻の後ろの筋肉)とハムストリング(モモ裏の筋肉)が弱くなり、大腿四頭筋(モモ前の筋肉)を過剰に使う傾向になり、ジャンパー膝になるリスクが高くなります。
足関節背屈角度が小さい、股関節と膝関節の屈曲角度が小さい、要するにしゃがみこむ動作で深くしゃがみこめないタイプの人は、ジャンプの着地のときに衝撃を吸収することが困難になり、ジャンパー膝になるリスクが高くなります。
そして、上記のような足首が過回内、足関節背屈角度が小さい、股関節と膝関節の屈曲角度が小さいタイプの人は、骨盤が後傾(骨盤が後ろに傾く)し、猫背姿勢になる傾向があります。
骨盤が後傾すると、大腿四頭筋の中でも最も強くて長い筋肉である大腿直筋が引き伸ばされ、膝蓋靭帯が強く引っ張られるためジャンパー膝になるリスクが高くなります。
バレエでのジャンパー膝の症状は
バレエは、プリエなど膝を曲げる動作とジャンプ動作が多いため、10代後半~20代でジャンパー膝を発症するリスクがあります。
ジャンパー膝の初期は、プリエやジャンプなどレッスン中は痛むが、日常生活に支障が出ることはあまりありません。
ですが悪化してくると、軽くしゃがむだけでも痛い、小走りするだけで痛いなど、日常生活に支障が出てきます。
こうなってくるとレッスンを長期に休むことになりかねませんので、初期の段階で対処しなければなりません。
バレエでのジャンパー膝の原因
- 過回内足(オーバープロネーション)で内側の土踏まずが潰れている。いわゆる偏平足の足をしている。
- 足関節底屈可動域が少ない。足首が硬くてつま先が伸びない、甲が出ないようなタイプの足をしている。
- 股関節外旋可動域が少ない。アンディオールの可動域が狭い。膝が外に向きづらいタイプの股関節をしている。
- オーバーターンアウトしている。膝の向きとつま先の向きが合っていない。膝の向きよりもつま先の方がターンアウトの角度が大きくなっている。
- 体幹の安定性(コアスタビリティ)の低下。体幹が弱いのでお腹の引き上げが苦手なタイプ。
- 骨盤の歪み。バレエでは骨盤が前傾し腰が反る、そしてお尻が後ろを向いてしまっているタイプが多い。
- 間違った動作。カマ足、逆カマ足に多く、ふくらはぎの筋肉を正しく使えていない。
- 足裏の筋力が弱いので、ふくらはぎの筋肉に負担が増える。
- コンクールに向けて、発表会に向けてなど、急にレッスン量が増えた。
- 最近体重が増えてしまった。
エコー検査により患部を正確に把握
当院では、施術者の手を使って行う徒手検査と、超音波画像診断装置であるエコー検査を行っております。
プロスポーツの現場では常識となっているエコー検査ですが、一般的な多くの整骨院、整体院では行われていないことが現状です。
徒手検査で見落としがちな患部の状態も、エコー検査を行うことで骨や筋肉、靭帯の損傷を詳しく画像として視覚的に把握することができます。
ジャンパー膝を早く治すためには、エコー検査を用いた早期発見と、正確な損傷部位の把握は必須だと考えます。
ジャンパー膝の治療法
ジャンパー膝の治療は、痛みを早く取り除くための患部の治療と、ジャンパー膝を再発させないための身体づくりの両方が必要だと考えます。
患部の痛みを早く取り除くためには、衝撃波(圧力波)による治療がとても有効だと考えます。詳しくは衝撃波(圧力波)治療のページをご覧ください。
そしてジャンパー膝を再発させないための身体づくりに対しては、バレエ整体やバレエピラティスを行っていきます。
クライアント様とカウンセリングを行いながら、以下の施術方法を組み合わせ、最善の方法を選択し、早期回復を目指します。