投稿:2022.05.18 / 14:32
バレエの腰痛 腰椎分離症、分離すべり症
腰椎分離症の症状
このような腰痛のお悩みはありませんか?
- カンブレで体を反ると腰が痛い
- アラベスクをするとで腰が痛い
- ポワントワークをすると腰が痛い
- レッスン時間が増えると腰が痛くなる
- レッスン後に腰が痛くなる
- 整形外科、整骨院、整体に通っても完治しない
腰椎分離症は、スポーツをしている子供、なかでも中学生に多く発症します。
スポーツをしていると腰に痛みがあり、症状が進むと臀部から下肢にまで痛みが及ぶことがあります。
日常動作では腰を反る、反った状態で捻るなどで痛みが誘発されることが多いです。
腰椎分離症とは
腰椎(腰の骨)は第1腰椎から第5腰椎までの5つの椎骨によって構成されており、1つの腰椎の構造は前方が椎体、後方が椎弓に分かれています。
腰椎分離症とは、腰椎の後方部分にある椎弓にヒビが入り疲労骨折をしている状態で、負荷のかかりやすい第4腰椎と第5腰椎に発症しやすくなります。
腰椎分離症の原因
まだ骨の柔らかい中学生頃の時期にスポーツで体を反る、捻る、ジャンプするなどを繰り返し行うことで発症します。
腰椎分離症は一般成人では5%程度発症している疾患ですが、アスリートに至っては全体の30~40%の方に発症していると言われており、スポーツ障害の腰痛としては非常に多い疾患と言えます。
腰椎分離症が腰痛の原因とは限らない
患者さんの多くは腰が痛くなり病院を受診します。そしてレントゲン等で腰椎分離症が発見され、腰痛の原因は腰椎分離症という診断を多くのケースで受けます。
しかし、腰椎分離症が腰痛の原因とは限りません。その理由について述べたいと思います。
腰椎分離症が腰痛の原因だとすると、腰椎分離症の病態は疲労骨折ですから、短くても2~3か月くらいの安静固定が必要になります。
ですが、当院に限らずのことだと思いますが、施術を1週間に1回のペースで、2~3回程度行うと痛みが取れるケースは結構あります。
ということは、腰痛の原因は腰椎分離症ではなく、筋肉や筋膜にある可能性が高いということになります。
また、大人になってから腰椎分離症が発見されることも多くあり、その事例のほとんどは中学生の頃に腰椎分離症を発症していることから考えると、当時は無症状で経過していることになります。
もちろん腰椎分離症が腰痛の原因のこともありますので、腰痛の原因が腰椎分離症なのか、もしくはそれ以外にあるのか、両方の可能性を考慮して治療を進めていくことが大切だと考えます。
腰椎分離すべり症とは
腰椎分離症と診断されても、痛みの原因は筋肉や筋膜であることがあるため、そのようなケースですと意外と早く痛みが消失することがあります。
ですが腰椎分離症の場合は、痛みが消失しても病院で経過観察することをおすすめします。
それは腰椎分離症が完治せずに進行して「腰椎分離すべり症」を発症する可能性があるからです。
腰椎分離すべり症とは、腰椎分離症がきっかけとなり、椎体が前方へすべって移動し神経を圧迫します。
そして腰痛、下肢への痛みやしびれなどの症状を強く生じることがあります。
腰椎分離すべり症は、難治性の腰痛となってしまう症例もありますので注意が必要です。
バレエで腰痛になる根本原因
バレエで腰痛になってしまう最も多い姿勢パターンとしては、重心が前に移動していることです。
重心が前方へ移動してしまうと、身体に以下のような特徴が見られます。
- 肋骨が開く
- 反り腰になる
- 骨盤が前傾する
- 過度な反張膝(膝の反りすぎ)
- もも前がパンパンに張る
- ふくらはぎがパンパンに張る
- 足趾が曲がる(カギ趾変形)
このような不良姿勢が続いてしまうと腰椎の下部に圧迫力が強くかかり、腰椎分離症を生じやすくなります。
バレエ動作が原因となる腰痛で病院や整形外科を受診した際に診断される症例は、腰椎分離症の他にも、筋・筋膜性腰痛、腰椎分離すべり症、仙腸関節障害(仙腸関節炎)、椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、椎間関節性腰痛、脊柱管狭窄症などが多いです。
そして、これらの診断を受けたバレエダンサーの姿勢を見てみると、多くの方が前述したような重心が前方へ移動している姿勢パターンになっています。
一般的な病院での治療法
病院での一般的な治療法は、コルセットで3か月位の固定、痛み止めの薬、腹筋等の筋肉トレーニング、電気治療などです。
そしてしばらくの期間、運動は休むように指導されるケースもあります。
腰椎分離症の初期で中学生頃でしたら、3か月位の固定で骨癒合(骨がくっつく)する可能性はありますが、大人の方で発症からある程度時間が経過している場合は、骨癒合することは難しいと考えます。
当院での治療法
診断について
病院ではレントゲン撮影をして、腰椎の後方部分にある椎弓にヒビが入り、疲労骨折の所見があるのかを確認します。
腰椎分離症の診断にはレントゲンなどの画像診断が必要となるため、整骨院で診断することはできません。
治療に関しては病院での診断のもと、患者様が保存療法を当院で希望されている場合は可能となります。
疼痛部位に対して
腰痛の原因が腰椎分離症自体の痛みの場合は、一定期間の安静固定が必要だと考えます。
ですが、腰痛の原因は腰椎分離症ではなく、筋肉や筋膜にある可能性も多くあります。
そのような場合は、施術のターゲットとなりえる部位へマッサージ、手技療法、衝撃波(圧力波)治療器、ラジオ波治療器、スーパーライザー光線治療器、鍼治療などを用いてアプローチしていきます。
※施術内容は患者様とカウンセリングをした上で決定していきます。一方的に施術内容を決めることはありませんのでご安心ください。
※鍼治療は希望者のみ行いますのでご安心ください。
骨盤に対して
アスリートやバレエダンサーは重心が前方へ移動している姿勢になりやすく、骨盤が前傾位で固まってしまい、骨盤体(腰椎と骨盤)を後傾することが苦手な人が多いです。
骨盤帯(腰椎と骨盤)の後傾方向へのモビリティ(可動性)を向上させていくことで、腰部の筋肉や筋膜への負荷を軽減させることができると考えております。
そして、骨盤の捻れや開きの左右差を確認し、手技療法により骨盤(仙腸関節)を矯正します。
全身へのアプローチに対して
腰部に負荷がかかりすぎているということは、その背景には体の様々な箇所にエラー動作や歪みが隠れています。
例えば、背骨の可動域が少ない、骨盤の前傾が強い、膝の捻れがある、足首の捻れがある、偏平足があるなどです。
それらを整体、矯正手技にて改善することで、腰部に過剰にかかっている負荷を軽減させることができると考えます。
体幹の安定に対して
足を上げる動作など下肢を動かす際には、下肢の筋肉よりも体幹の筋肉(インナーユニット)が先行して働くことが正しい身体の使い方です。
インナーユニットとは、腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群、多裂筋のことを言います。
体幹の筋肉を先に収縮させ体幹を安定させてから下肢の筋肉を使った方が、体のブレが小さく運動効率がよいためです。
例えば、股関節を屈曲する動き、バレエ動作でたとえるとドゥバンへ足を上げるときは以下のような順序で働くことが理想的です。
【体幹の筋肉(インナーユニット) ⇒ 大腰筋(腸腰筋、腸骨筋) ⇒ 大腿直筋】
ですが、骨盤帯(腰椎、骨盤)や股関節に問題を抱えている多くの方は、体幹の筋肉(インナーユニット)が先行して働くことができず、大腿直筋や大腰筋(腸腰筋、腸骨筋)が先行して働いていることがあります。
このようになってしまうと骨盤帯(腰椎、骨盤)や股関節への負荷が強くなってしまい、ケガに繋がりやすくなります。
当院では体幹の安定性とモビリティ(可動性)を向上していくためにバレエピラティスを行っています。
保存療法の可能性
腰椎分離症は、痛みの原因がどこにあるのかをしっかりと見極める必要があります。そして痛みに関しては保存療法で改善する可能性が高いと考えます。
しかし、腰椎分離症が完治せずに進行して「腰椎分離すべり症」を発症する可能性があることから、病院での経過観察も必要だと考えます。
そしてバレエでの不良動作を改善していくこと、体幹の安定性とモビリティ(可動性)を向上していくことは根本改善に繋がっていくと考えます。
詳しくはそれぞれの治療ページをご覧ください。
クライアント様とカウンセリングを行いながら、以下の施術方法を組み合わせ、最善の方法を選択し、早期回復を目指します。