投稿:2022.05.18 / 14:21
バレエの腰痛 筋・筋膜性腰痛
筋・筋膜性腰痛の症状
このような腰痛のお悩みはありませんか?
- カンブレで体を反ると腰が痛い
- アラベスクをすると腰が痛い
- ポワントワークをすると腰が痛い
- レッスン時間が増えると腰が痛くなる
- レッスン後に腰が痛くなる
- 整形外科、整骨院、整体に通っても完治しない
- ギックリ腰を繰り返している
このように腰痛で悩まれているバレエダンサーさんはとても多いです。
筋・筋膜性腰痛とは
腰痛の80%以上はレントゲンでは異常がわからないと言われており、レントゲンなどの検査で骨、関節に問題がない症例のほとんどは筋・筋膜性腰痛と分類されます。
筋・筋膜性腰痛は、日常生活で起こる腰痛、スポーツによる腰痛、バレエによる腰痛で最も多い症例の一つで、中学生から中高年まで幅広い年代で発症します。
スポーツやバレエでは、体を前屈、後屈、回旋、ジャンプなどの負荷が腰部の筋肉、筋膜に強くかかるために発症します。
また、筋・筋膜性腰痛は日常生活でも非常に多く発症し、不良姿勢でのデスクワークや、長時間の車の運転、重いものを持ち上げた際など様々な動作が要因となり発症します。
筋・筋膜性腰痛の急性と慢性の違い
筋・筋膜性腰痛には急性と慢性があり、急性の筋・筋膜性腰痛は、重たいものを持ち上げた瞬間や、前かがみになった瞬間にピキッと強い痛みが出るもので、いわゆる「ぎっくり腰」のことを言います。
慢性の筋・筋膜性腰痛は、筋肉や筋膜への持続的なストレスが蓄積され発症する腰痛のことを言います。
筋膜(ファシア)とは
多くの方が「筋肉」についてはイメージできると思いますが、「筋膜」についてはイメージしづらい方もいらっしゃると思いますので少し説明をします。
鶏肉を食べたときに皮とお肉の間に白い膜があるのをご存じだと思いますが、これが筋膜です。
最近では筋膜リリースなど、筋膜という言葉もよく聞くようになってきました。筋膜は英語でfascia(ファシア)と言います。
筋膜は筋肉の表面を覆っており、隣接する筋肉を繋ぎ合わせています。そして結果的に全身をボディスーツのように覆っています。
体は筋膜によってバランスよくテンションが張られることにより支えられていますが、筋膜のある個所に負荷が集中して縮んでしまうと、他の個所は引っ張られてテンションが乱れてしまいます。
このように筋膜同士や、筋膜と筋肉の間で萎縮や癒着が起こることで可動の制限が起こり痛みを生じます。
腰部には広背筋(背中)、大殿筋(お尻)、脊柱起立筋(背骨の両脇)、腹横筋(お腹全体)、腹斜筋(お腹の側面)、などを連結している「胸腰筋膜」というとても大きな筋膜があります。
この胸腰筋膜の萎縮や癒着が、筋・筋膜性腰痛の主な原因になります。
バレエで腰痛になる根本原因
バレエで腰痛になってしまう最も多い姿勢パターンとしては、重心が前に移動していることです。
重心が前方へ移動してしまうと、身体に以下のような特徴が見られます。
- 肋骨が開く
- 反り腰になる
- 骨盤が前傾する
- 過度な反張膝(膝の反りすぎ)
- もも前がパンパンに張る
- ふくらはぎがパンパンに張る
- 足趾が曲がる(カギ趾変形)
このような不良姿勢が続いてしまうと胸腰筋膜の萎縮や癒着が起こり、筋・筋膜性腰痛を生じやすくなります。
バレエ動作が原因となる腰痛で病院や整形外科を受診した際に診断される症例は、筋・筋膜性腰痛の他にも腰椎分離症、腰椎分離すべり症、仙腸関節障害(仙腸関節炎)、椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、椎間関節性腰痛、脊柱管狭窄症などが多いです。
そして、これらの診断を受けたバレエダンサーの姿勢を見てみると、多くの方が前述したような重心が前方へ移動している姿勢パターンになっています。
一般的な病院や整骨院での治療法
急性の場合は、アイシング、コルセット固定で安静にしていれば、多くのケースは数日で強い痛みはなくなります。
慢性の場合は、マッサージ、ストレッチ、温熱療法、電気治療、再発防止のための筋力トレーニングなどが一般的な治療法となります。
当院での治療方法
診断について
病院では、レントゲン撮影をして骨や関節に異常がない場合は筋・筋膜性腰痛の診断を受けることが多いです。
当院では、問診、触診、徒手検査、エコー検査を用いて負傷部位を確定していきます。
疼痛部位に対して
当院では、胸腰筋膜、腸腰筋、腰方形筋などの緊張や癒着が筋・筋膜性腰痛の原因となっている可能性が高いと考えております。
施術のターゲットとなりえる部位へマッサージ、手技療法、衝撃波(圧力波)治療器、ラジオ波治療器、スーパーライザー光線治療器、鍼治療などを用いてアプローチしていきます。
※施術内容は患者様とカウンセリングをした上で決定していきます。一方的に施術内容を決めることはありませんのでご安心ください。
※鍼治療は希望者のみ行いますのでご安心ください。
骨盤に対して
アスリートやバレエダンサーは重心が前方へ移動している姿勢になりやすく、骨盤が前傾位で固まってしまい骨盤体(腰椎と骨盤)を後傾することが苦手な人が多いです。
骨盤帯(腰椎と骨盤)の後傾方向へのモビリティ(可動性)を向上させていくことで、腰部の筋肉や筋膜への負荷を軽減させることができると考えております。
そして、骨盤の捻れや開きの左右差を確認し、手技療法により骨盤(仙腸関節)を矯正します。
全身へのアプローチに対して
腰部の筋肉や筋膜に負荷がかかりすぎているということは、その背景には体の様々な箇所にエラー動作や歪みが隠れています。
例えば、背骨の可動域が少ない、骨盤の前傾が強い、膝の捻れがある、足首の捻れがある、偏平足があるなどです。
それらを整体、矯正手技にて改善することで腰部の筋肉や筋膜に過剰にかかっている負荷を軽減させることができると考えます。
体幹の安定に対して
足を上げる動作など下肢を動かす際には、下肢の筋肉よりも体幹の筋肉(インナーユニット)が先行して働くことが正しい身体の使い方です。
インナーユニットとは、腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群、多裂筋のことを言います。
体幹の筋肉を先に収縮させ体幹を安定させてから下肢の筋肉を使った方が、体のブレが小さく運動効率がよいためです。
例えば、股関節を屈曲する動き、バレエ動作でたとえるとドゥバンへ足を上げるときは、以下のような順序で働くことが理想的です。
【体幹の筋肉(インナーユニット) ⇒ 大腰筋(腸腰筋、腸骨筋) ⇒ 大腿直筋】
ですが、骨盤帯(腰椎、骨盤)や股関節に問題を抱えている多くの方は、体幹の筋肉(インナーユニット)が先行して働くことができず、大腿直筋や大腰筋(腸腰筋、腸骨筋)が先行して働いていることがあります。
このようになってしまうと骨盤帯(腰椎、骨盤)や股関節への負荷が強くなってしまい、ケガに繋がりやすくなります。
当院では、体幹の安定性とモビリティ(可動性)を向上していくためにバレエピラティスを行っています。
保存療法の可能性
筋・筋膜性腰痛は、筋肉と筋膜の緊張や癒着が原因であることから、多くの症例は保存療法で改善すると考えます。
そしてバレエでの不良動作を改善していくこと、体幹の安定性とモビリティ(可動性)を向上していくことは根本改善に繋がっていくと考えます。
詳しくはそれぞれの治療ページをご覧ください。
クライアント様とカウンセリングを行いながら、以下の施術方法を組み合わせ、最善の方法を選択し、早期回復を目指します。