トウシューズを履いて上手に立てない、立ちきれないのはなぜ?
イラスト ゆらい
ポワントワークの時にこのようなお悩みありませんか?
✅トウシューズでうまく立てない理由が分からない
✅トウシューズを履いて片足で立ちきれない
✅トウシューズを履くと膝が伸びない、膝が曲がる
✅トウシューズを履くと軸がぶれて身体がフラフラする
✅トウシューズを履くと足、足指、足首、くるぶし、アキレス腱、膝、股関節、腰などが痛くなる
✅足首が硬い、甲が硬い、甲が出ない、甲が低いのでトウシューズを履くことは無理なのだろうか…
ポワントワークにおけるパフォーマンスピラミッド
バレエやあらゆるスポーツの分野でレベルアップしてくには以下の図のようなパフォーマンスピラミッドのステップを踏んでいくことが大切です。
パフォーマンスピラミッドをポワントワークに当てはめてみると以下のようなイメージになります。
ポワントワークをするためにはピラミッド図の下から上に向かって順番にステップアップしていかなくてはいけません。
トウシューズを履ける条件を満たしているのか?
✅トウシューズを履ける足首の可動域がないのにポワントワークを始めている。
✅トウシューズを履いて姿勢をキープできる筋力がないのにポワントワークを始めている。
このようなことが普通におこなわれていることが一般的な日本のバレエ教室の現状です。
パフォーマンスピラミッドが守られていないとどうなるのか?
✅バレエが上達しないので悩んでしまう
✅ケガをしやすくなってしまう
✅反り腰、猫背、O脚などスタイルが悪くなる
✅いつまでたっても膝が伸びない
このような状態になってしまったら大好きで楽しいはずのバレエが辛いものになってしまうかもしれません。
問題点へのアプローチの基本方針
ポワントワークが上手くできない人を例にして、先ほどのパフォーマンスピラミッドの理論も加味して、下の図にあるように3つのアプローチをしていきます。
・関節可動域
・筋力
・コーディネーション(コントロール力)
足首と甲の関節可動域を出すこと
最初にアプローチをすべきことはトウシューズを履くための関節可動域の獲得です。
足のスネ(脛骨)と甲が水平以上の可動域を出せるようにしなくてはいけません。
足裏や体幹の筋力をつけること
次にアプローチをすべきことは筋力です。
足裏の筋肉(足の内在筋)が弱いと足の指を伸ばした状態でキープできません。
そして身体を引き上げる筋力(体幹の筋力)も大切です。この筋力がないと姿勢をキープできません。
身体をコントロールする能力をつける
その次にアプローチをすべきことはコーディネーション(コントロール力)です。
・足首から下の骨はバランスよく動いているか
・正しくアンディオール出来ているか
・骨盤の位置は正しくコントロールされているか
・肩が下がっているか、肋骨が開いていないか
などを修正していきます。
トウシューズを履くためのファンクショナルテスト
トウシューズを履き始めてもよいのかを判断するテスト法を紹介します。
①ペンシルテスト
(足のスネから甲にかけてペンを置き、ペンと床が平行以上になればOK)
②片足ヒールレイズテスト
(片足パラレルでルルべを連続20回以上)
③エアプレーンテスト
(エアプレーンテストを4回成功/5回)
④片足ソッテテスト
(連続16回以上片足でジャンプ)
⑤トップルテスト
(完璧なシングルピルエット)
これら①~⑤ができるようになることがトウシューズを履き始める判断基準の一つとなります。
問題点へのアプローチの方法
ポワントワークが上手くできない人を例にして、問題点へのアプローチの方法を考えていきましょう。
①モビライゼーション
骨と骨の間には必ず関節があります。この関節の動きを良くしてあげることがモビライゼーションです。
ポワントワークではシューズで足を締め付けていることが多く、足首から下の関節の動きが固くなっていますのでこの部分をモビライゼーションしていきます。
②ストレッチ
筋肉を伸ばしていくことがストレッチです。
ポワントワークでは裏モモ(ハムストリング)、内モモ(内転筋群)をストレッチしておくと良いです。
③筋膜リリース
筋膜の癒着をはがしていくことが筋膜リリースです。筋膜の癒着とは筋肉や筋膜が凝り固まっている場所です。
前モモ(大腿四頭筋)、裏モモ(ハムストリングス)、ふくらはぎ(腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長母指屈筋)、腰の筋肉(胸腰筋膜)を筋膜リリースしておくと良いです。
上記の①~③は自分でする場合、他人にしてもらう場合、専門家にしてもらう場合などで効果に差が出ます。
セルフケアは毎日自分で行い、可能な範囲で定期的に専門家にケアをしてもらうことがおすすめです。
まとめ
トウシューズを履いて美しく踊ることはバレエを始めた方からしてみれば憧れであり大きな目標でもあります。
ですが前述したパフォーマンスピラミッドの順番を間違えてしまうと本末転倒になりかねませんので気を付けてください。
そして、バレエの指導者の方もパフォーマンスピラミッドの理解が必要です。
繰り返しになりますが、ペンシルテストが90°以下の人がトウシューズを履いても立ちきることなど不可能で、100%に近い確率で膝が曲がってしまうでしょう。
先ず行うべきことは足首の可動域の獲得です。次にトウシューズで踊るための筋力強化です。そして最後にポワントワークのテクニックです。
この理解がないとなかなか上達せず悩んでしまうことや、またケガをするリスクが高くなってしまいます。
トウシューズの練習を始める時期については国際ダンス医科学会が詳しくガイドラインを出しています。他のブログで詳しく書いていますので参考にしてみて下さい。