身体が柔らかい方がバレエに向いているのはウソ?ホント?

身体が柔らかい方がバレエに向いているのはウソ?ホント?


イラスト ゆらい

体は柔らかいのにバレエが上手にならない、、、このようなお悩みありませんか?

✅肋骨が開いて反り腰になってしまう

✅膝が入りすぎて過度な反張膝になってしまう

✅身体を止めてキープできない

✅フラフラしてしまい身体をコントロールできない

✅先生の指導通り動作を修正できない

✅腰痛や足のケガを繰り返している

✅体が柔らかいのにバレエが上手にならない

✅体が柔らかい方がバレエに向いている体なのかな?

身体が柔らかい人はこのような悩みを抱えていることが多くあります。

身体が柔らかいことを専門的には「全身の関節弛緩性が高い」と言います。

全身関節弛緩性が高いとは?

体の柔らかさや関節の可動域は個人差が大きいことはご存じかと思います。

また全身関節弛緩性の高さは遺伝的な要素が大きく関与しています。

全身関節弛緩性の高さについてスポーツ医学などの専門家の間では重要視されていますが、バレエの場合、指導者も含めてあまり知られていない現状があります。

では次に全身関節弛緩性の高さの評価法を紹介します。

全身関節弛緩性テスト(ベイトンテスト)

全身関節弛緩性テスト(ベイトンテスト)

全身関節弛緩性の高さの評価として全身関節弛緩性テスト(ベイトンテスト)があります。

①~⑨まで評価方法がありますので写真を参考に見ていきましょう。

評価の目安は小学4年生以上で行います。

①右手の第5指MP関節伸展90度以上ある(小指が90°以上反る)

②左手の第5指MP関節伸展90度以上ある

③右手の親指が前腕につく

④左手の親指が前腕につく

⑤右肘の過伸展が10度以上ある

⑥左肘の過伸展が10度以上ある

⑦右膝の過伸展が10度以上ある

⑧左膝の過伸展が10度以上ある

⑨立位の膝伸展位で前屈し手掌がゆかにつく

①~⑨項目までをそれぞれ1点として、4点(4/9)以上で全身関節弛緩性テスト陽性となります。

※こちらのモデルさんは9点満点となります。

<ベイトンテスト0~3点>

全身関節弛緩性テスト陰性です。

ケガをしにくいなどメリットはありますが、バレエをキレイに踊るには体が固い傾向にあります。

特に足首やひざ裏のストレッチやモビライゼーションをしっかりと行いましょう。

<ベイトンテスト4~7点>

全身関節弛緩性テストやや陽性です。

ストレッチと体幹トレーニングをバランスよく行っていきましょう。

<ベイトンテスト8~9点>

全身関節弛緩性テスト陽性です。

体がフラフラして軸を作ることが苦手な方が多いです。

身体のコントロール力を上げるために体幹トレーニングをしっかり行いましょう。

全身関節弛緩性が高いタイプの子供はバレエをしていて悩みを多く抱えているケースが多いので次項で詳しく述べていきます。

全身関節弛緩性の高さが子供のバレエ姿勢に及ぼす影響

全身関節弛緩性テスト陽性が姿勢に及ぼす影響として、以下の特徴があります。

①過度な反張膝

立位で膝が入り過ぎる状態、膝の過伸展(過度な反張膝)になっている子供が多いです。

過度な反張膝は膝を押し込んで立っているので重心が前方になりやすく、そのためにモモ裏のハムストリングスやふくらはぎの筋肉が引っ張られて硬くなります。

対策としては重心位置を少し後方へ持ってくる意識を持って立ちましょう。

正しい重心位置は内くるぶしと外くるぶしを結んだ線の真下か、その1~2センチくらい前方です。

②反り腰

前重心になっているので骨盤が前傾して反り腰になり、肋骨が開いている子供が多いです。

前重心になっていると身体を引き上げる感覚が分かりづらいです。

そして大腿四頭筋を過剰に使うことから前モモ、外モモがパンパンに張ってきて太くなる傾向にあります。

対策としては正しい重心位置を意識して骨盤のニュートラルポジションを意識してレッスンを行いましょう。

骨盤のニュートラルポジションとは左右の上前腸骨棘と恥骨結合を結んだ線が床と垂直に交わる位置になります。

③足裏のアーチの低下や消失

アンディオールした状態で前重心になっていると足裏のアーチが低下し土踏まずが落ちてきます。

その結果として偏平足、外反母趾、内反小趾、有痛性外脛骨障害、後脛骨筋腱炎などになりやすいです。

対策としては先述した正しい重心の位置と骨盤のニュートラルポジションを意識して、足裏筋の強化を行いましょう。

全身関節弛緩性の高さが深部感覚に影響する可能性

全身関節弛緩性があるとバレエを踊っている際の筋肉の収縮感覚や、関節位置感覚のセンサーが鈍くなりやすいです。

そして以下のような感覚が起こりやすくなり、踊りづらさを感じてしまうケースが多くあります。

・自分がイメージしている高さに足が上がっていない

・筋肉にどの程度の力を入れていいのか分からない

・骨盤の位置や正しい姿勢など頭では理解をしているが身体をコントロールできない

全身関節弛緩性の高い子供たちの可能性を育てるために

バレエを美しく踊るためには身体が柔らかい条件の方が良いので、全身関節弛緩性の高い子供たちがバレエを長く続けていく傾向にあります。

そして全身関節弛緩性が高い子供は足が高く上がる、甲がキレイに出て、膝がきれいに入るのでバレエ教室のエース級になっていくことが多いです。

全身関節弛緩性が高い子供への指導方法ですが、海外のバレエ学校やバレエカンパニーではバレエのテクニックを指導する前に身体のコントロール力を身に付けていくことを重要視します。

一概には言えませんが日本のバレエ教室では身体のコントロール力が出来る前にトウシューズのレッスンを開始したり、コンクールのためのテクニックを指導するなどの本来の指導方法が逆転している傾向があります。

その結果として足のケガ、腰痛、外反母趾などで悩む子供たちが沢山いる現状があります。

また本来であればバレエが最も上達するはずの小学5、6年生~中学生の頃に、上達に伸び悩むことも多くあります。

最後に

これまでも述べてきましたが全身関節弛緩性の高い子どもはケガをしやすいです。

「間違った身体の使い方×レッスン時間」でケガのリスクはどんどん高くなります。

全身関節弛緩性が高い子供へのアプローチとしてはバレエのテクニックよりも身体のコントロール力を身に着ける方が先だと思います。

身体のコントロール力とはこのようなことです。

・十分な体幹の筋力をつける

・床を押して身体を引き上げる感覚を身に付ける

・骨盤の位置をコントロールする感覚を身に付ける

身体のコントロール力を身に付けてからバレエのテクニックを学んでいくことで、子供たちの可能性を最大限に伸ばしてあげられるのではないかと思います。

治療法

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