バレエの三角骨障害に手術は必要か?
有痛性三角骨障害とは

有痛性三角骨障害は足部のバレエ障害では多く発症する疾患です。
三角骨とは距骨という足首の中心の骨の後方にある過剰骨(不要な骨)のことで、三角骨の有無はレントゲン検査等の画像で分かります。
三角骨は不要な骨なので全ての人に存在するわけではなく、約12%の人に存在すると言われています。
この三角骨が距骨(足首の中心の骨)、脛骨(スネ)、踵骨(カカト)に挟み込まれることで、足首の後方や、アキレス腱の奥の方に痛みを生じます。
ポワント、ルルべ、タンジュで痛い

有痛性三角骨障害は日常生活で痛みが出るようなケースは殆なく、足首を伸ばすような動作で痛みが出ます。
バレエの場合はポワント、ルルべなどつま先を伸ばして立つ動作で、足首の後方の挟み込みが助長されるため痛くなります。
タンジュなど体重を掛けないような動作でも痛みがある場合は、炎症反応が強く出ているサインとなります。
病院での治療法は?
病院での治療法ですが先ずは保存療法となります。
保存療法とは足首周りの筋力強化、超音波治療などの温熱療法、痛み止めや注射が一般的な方法となります。
そして保存療法でも改善しない場合は手術が選択肢として提案されます。
長母指屈筋腱の腱鞘炎の可能性を考える

有痛性三角骨障害は殆どのケースで長母趾屈筋腱の腱鞘炎を併発しています。
長母趾屈筋腱の腱鞘炎は三角骨の有無に関係なく発症し、そして有痛性三角骨障害と痛む場所が同じです。
ですから三角骨自体の骨由来の痛みなのか、長母趾屈筋腱の腱鞘炎の痛みなのか、又は両方の痛みなのか、鑑別が必要となります。
三角骨があっても保存療法で治癒する症例は、三角骨が痛かったのではなく、長母趾屈筋腱の腱鞘炎が原因だったことになります。
先ずは長母趾屈筋腱の腱鞘炎の治療を行って、痛みがどの程度改善するかを経過観察することが重要だと考えます。
間違った身体の使い方をしていないかチェック!
なぜ長母趾屈筋腱の腱鞘炎なってしまうのか?
原因は間違ったバレエ動作にあります。
原因1:足指が伸びずグーになって丸まっている

足指がグーになって丸まっているとポワント、ルルべ、タンジュなどの時に足裏筋を使うことができないため、ふくらはぎの筋肉を使いすぎてしまい、
そして足首の後ろを詰めて使っているので長母趾屈筋腱の腱鞘炎の原因になります。
足裏筋が弱くふくらはぎの筋肉に依存しているので、ふくらはぎがパンパンに発達して、俗に言う「バレエのシシャモ足」になっている人が多いです。
原因2:肋骨が開いて反り腰になっている

肋骨が開いて反り腰になっていると重心が前に傾きます。
重心が前に傾くと身体が前に倒れないように腰、ふくらはぎの筋肉が頑張って常に体を引っ張っています。
その結果、ふくらはぎの筋肉を使いすぎて、足首の後ろを詰めて使ってしまうので長母趾屈筋腱の腱鞘炎の原因になります。
セルフケア1)足指を伸ばすエクササイズ
長母趾屈筋腱の腱鞘炎になる人の多くは、足指が伸びずグーになって丸まっています。
足指をしっかりと伸ばす使い方をマスターしましょう。
足指を伸ばして使えるようになってくると、足裏筋が強化されて、ふくらはぎの筋肉に依存せずに、ポワント、ルルべ、タンジュができるようになり、
そして長母趾屈筋腱の腱鞘炎の痛みは改善してきます。
① フレックスで準備する
② ドゥミでしっかり押す
③ 足指が曲がらないように遠くへしっかり伸ばす
④ ドゥミに戻す
フレックスに戻して①~④を繰り返す
セルフケア2)反り腰改善エクササイズ
もう一つの長母趾屈筋腱の腱鞘炎の改善エクササイズを紹介します。
壁を目の前にパラレルで立って、壁際ギリギリでルルべをする練習をしてください。
肋骨が開いて反り腰になっている人は、真っすぐルルべができないので、これがとても苦手です。
壁からつま先までの距離が7センチくらいから始めるとよいでしょう。
目標は壁からつま先までの距離を5センチで行うことです。
真っすぐにルルべができるようになると、体幹筋と足裏筋を使えるようになり、ふくらはぎの負担が軽減されて、長母趾屈筋腱の腱鞘炎が改善してきます。
そして肋骨の開きや、反り腰も改善されますので素晴らしいエクササイズですね!
結論!有痛性三角骨障害で手術は必要か?
これまで述べてきたように、三角骨が存在する場合でも、先ずは長母趾屈筋腱の腱鞘炎の症状を改善させることが先です。
長母趾屈筋腱の腱鞘炎があるかどうかは、圧痛点(痛む箇所)、エコーによる炎症反応の有無、熱感の有無などで判断していきます。
長母趾屈筋腱の腱鞘炎の治療はバレエ動作の改善は勿論のこと、バレエ整体施術、ストレッチ、体外衝撃波治療、体幹トレーニングなども非常に有効です。
結論、三角骨の切除手術は最終手段です。手術を考える前に長母趾屈筋腱の腱鞘炎の治療をしっかりと行ってください。
三角骨が存在する場合でも、長母趾屈筋腱の腱鞘炎が治ると痛みが消失する症例は多くあります。
長母趾屈筋腱の腱鞘炎を治しておかないと、三角骨の切除手術を行っても、痛みがあまり軽減しない可能性もあります。
手術ではない方法で改善策を探している場合や、現在整形外科や整骨院に通っているが、中々改善しない場合はお気軽にご相談下さい。
著者プロフィール 伊集院 博
兵庫県神戸市生まれ。千葉県千葉市在住。2007年に千葉市中央区にて伊集院鍼灸整骨院を開業。現在は千葉県で2店舗の鍼灸整骨院の代表を務める。
『バレエ障害をゼロに!』をミッションに掲げ、ケガから最速でバレエ復帰できるように日々臨床に励んでいる。
バレエ動作修正やトレーニング指導にも定評があり、院内にマシンピラティススタジオを併設し、プロバレエダンサー、ジュニア、大人バレリーナを年間1,000人以上サポートしている。
著書『ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン』
主な資格と実績
- 伊集院鍼灸整骨院グループ代表
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- BESJ認定ピラティストレーナー
- BTA認定バレエダンサートレーナー
- ハワイ大学解剖実習終了
- 治療家大學技術講師就任
